大西 佐奈  作品展

影の中の幻日 照らされる白月

2024年1月3日(木)〜14日(日)

CAFEめがね書房(ギャラリースペース・カフェスペース)

 
 
 
 この映像は大西佐奈が近年に追求している光の現象と平面の関係性を主題に、平面作品とインスタレーションをCAFEめがね書房内にあるギャラリースペースとカフェスペースにて展示した記録です。
 
 今回の展示では冬の光の現象になぞらえ光と影の関係性についてを表現しています。
2024.1.3
大西  佐奈

大西 佐奈 

On the horizon

2022年5月5日(木)〜14日(土)

ギャラリーカメリア

 私は海辺で生まれ、長い間海の近くに住んでいました。ある町は昔から形をあまり変化させずそのままを残しているようでした。また別のある街は複雑な歴史的背景のもとに常に開発されていました。そんな風景を常に傍らに感じ、残されたものと消されたものの間に、囲まれ分断される海をみながら、私は視覚の不思議について考えていました。
  私たちの視覚は何を感じるかでみている事や物が変化し、逆に何をみるかでも感じ方は変わります。それはひとつの同じ海を別々の場所からみて、別の名前で認識している様でもあり、あるいは、それぞれ場所にいても一つのつながった水平線上にいるような感覚を共有しているように。
 私の作品は支持体に手を加えることで、透過したり不透明になったりします。その残されたものと消されたものの間で絵具の物質感が現れ、影が像として浮かんだり、遮られ見えなくなったりと知覚をゆさぶり可視と不可視がせめぎ合います。その感覚は、まるで囲まれ分断された中でも残る水平線のように感じています。 そして今回の個展ではその水平線上をたゆたいながら制作した作品を展示し、そこからうまれる繋がりや差異を探ります。
2022.5.5
大西  佐奈

大西佐奈作品展

雲をおもい海をおよぐ

2022年4月6日(水)〜17日(日)

主催会場Enne_ nittouren 共催 侶居  

 『雲をおもい海をおよぐ』のためのエッセイ

 

 近年、私が制作している作品は主に絹に油彩で描いています。透けるほど薄い絹に描く時、思い出すふたつの感覚があります。
 ひとつは夜の海で泳いだ記憶です。幼い時に家族でキャンプをした時の事、夜の海で泳ぐと危険だとは知っていたのですが、体験してみたくなり私は夕凪に浮かんでいました。やがて日が暮れて夜になると、顔を空に向けても海に向けても目を開けても閉じても闇になり、海中の感覚も薄れて無重力の宇宙の中に浮かんでいる感覚になりました。恐怖を覚え岸に帰ろうと泳ぐと、空を向いても海を向いても暗闇でしかないためどちらで息を吸えばいいのかわからず、うまく息継ぎ出来なくなってしまいました。その時に昼間泳ぐときは明暗の差を認識する事で息継ぎしていたことに気づきましたが、夜の海ではそれは通用しません。そこで私は海面に触れている部分に意識を集中させて、離れると息を吸い触れると息を止めるという繰り返しで泳げることに気づきました。そしてただ水平線上を意識し続けることで岸に辿り着きました。その時の感覚が現在の制作で研究している平面性と物質の関わり方を創ったのでは感じています。

 もうひとつは大好きだった父が病で亡くなった時の事です。荼毘に伏した日はとてもよく晴れた美しい春の日でした。父が火葬場の煙突から白い気体と白い灰になり、満開の桜の上の真っ青な空へ登るのをずっと見ていました。昔から形のないものを描きたいと思っていたけれどその父の姿を見たときに、だから私は雲のような大気のようなものが描きたかったのだと気が付いたのです。それは私にとって大切な人の気配のようなものだからです。そして今も絵に描くには難しいけれど、大気のような雲のような絵を描きたいと思っています。

 今回はそのふたつの思い出をテーマとし、展示しました。   

 

2022.4.6
大西  佐奈

OutermostNAGOYAにてご掲載いただきました井上昇治氏による展示レビューは以下のリンクよりお読みいただけます。

https://www.outermosterm.com/onishi-sana/


大西 佐奈 

Horizontal Time

 

 

2021年4月4日(日)〜5月27日(木)  ARToba

2021年5月8日(土)〜6月5日(土) CAFEめがね書房

 

同じ時間のそれぞれの場所でひとつの海を共有すること−みる事の不思議を探ることをテーマとし、油画作品を中心に2会場で同時に展示しました。
 
企画 リンダ・デニス(ARTobaアートネット代表)

共催 ARTobaアートネット、鳥羽市 


今回の展示について
 私は生まれてから長く海辺に住み、初めての家族旅行は鳥羽でした。住んでいたある町はずっと昔から形をあまり変化させずそのままを残しているようでした。また別のある街は複雑な歴史的背景のもとに常に開発されていました。そんな風景を常に傍らに感じ、残されたものと消されたものの間に、 囲まれ分断される海をみながら、私は視覚の不思議について考えていました。 私たちの視覚は何を感じるかでみている事や物が変化し、逆に何をみるかでも感じ方は変わります。ひとつの同じ海を別々の場所からみているように。
 私の作品は支持体に手を加えることで、透過したり不透明になったりします。その残されたものと消されたものの間で絵具の物質感が現れ、影が像として浮かんだり、遮られ見えなくなったりと知覚をゆさぶり可視と不可視がせめぎ合います。その感覚は、まるで囲まれ分断された中でも残る水平線のように感じています。
 そして今回の展⽰はその水平線上のような同じ時間の2つ場所で同一のテーマとした作品群を展⽰することにより、得られる共有感や差異を探ります。

About this exhibition in the words of the artist:
I have lived near the sea for a long time since I was born. And my first family trip was Toba. The town I lived in seemed to have remained unchanged for a long time. Other cities have always been developed with a complex historical background. I was always feeling such a landscape by my side, and thinking about the mysteries of vision while looking at the sea that was surrounded and divided between what was left and what was erased. How we feel changes depending on what we see, and conversely, what we see changes depending on how we feel. Like looking at one and the same sea from different places.
My work can be transparent or opaque by arranging the material. The material feeling of the paint appears between what is left behind and what is erased, and the shadows appear as images, or they are obstructed and invisible, shaking the perception and the visible and invisible conflict. I feel that feeling is like a horizon that remains even though it is surrounded and divided.
In this exhibition, I will explore the sense of sharing and differences that can be obtained by exhibiting works with the same theme at two places at the same time, such as on the horizon.

 

 

 

 

 

ARToba 展示風景

 

安井海洋氏(美術批評)による大西佐奈 ”Horizontal Time” 展評 Bilingual Reviewは以下のARTobaのリンクよりお読みいただけます。

https://touch-base-create.net/onishi-sana-exhibition-review/

 

photo by Hakubun Sakamoto


 

 CAFEめがね書房 展示風景

 

 

 

 

photo by Toshio Hanatani


 大西佐奈個展

月に橋をかける

2021年2月18日(木)〜2月28日(日)

ギャラリ想 展示風景

 いつも気まぐれに空に浮かぶように見える月に、私たちは一番近くの宇宙(外部)を見ている気がします。それはそれは憧れのような気持ちを抱きながら。

 かつては行くことさえ叶わなかった月ですが、近い未来に月旅行ができるようになりそうです。私は絵を描いていると時々「ずっとこの絵を描きたかったんだ」と感じる時があります。いつの間にか、思い馳せていた場所に立っていると気づくのです。そう、それはまるで月に橋をかけた時のように。
 月に橋をかけるようにというのは、いつの間にか夢が叶っているという意味をこめて、私が作った造語です。今回は月を主題にした作品を中心に月に橋をかけるように展示しました。           
2021.2.18
大西  佐奈


PORTRAIT

2021年2月6日(土)〜2月21日(日)

侶居 展示風景

侶居3周年企画展に参加しました。

 大西佐奈はナルキッソスの神話に登場する水鏡を世界最古のポートレイトと捉え水鏡をテーマとした作品を出展しました。

 

Photo by Shinji Hinode


シェル美術賞展

2020年12月9日(水)〜12月21日(月)

国立新美術館 展示風景

大西佐奈 "surround" がシェル美術賞2020に入賞し展示されました
 シェル美術賞とは、次世代を担う若手作家を対象とした公募展で、1956年の創設から2020年で64年目(49回目)を迎えました。現代絵画の登竜門といわれ、今回は846点の作品応募の中から受賞入選作品の計54点が選出されました。また投票により決定されるオーディエンス賞の3位に選ばれました。

大西佐奈 "surround" 130×162 cm 2020年 油彩 シルク パネル
 
 残されたものと消されたものの間に、囲まれ分断される風景をみながら、私は視覚の不思議について考えていました。
 
 私の作品は支持体に手を加えることで、透過したり不透明になったりします。その残されたものと消されたものの間で絵具の物質感が現れ、影が像として浮かんだり、遮られ見えなくなったりと知覚をゆさぶり可視と不可視がせめぎ合います。その感覚は、まるで囲まれ分断された中でも残る水平線のように感じています。

 

 

Sana Onishi "surround" 130×162 cm 2020 Oil on silk mounted on panel
 
I contemplated the wonders of vision while observing a landscape that was surrounded by and divided between what was left and what was erased.

I make my paintings transparent or opaque by modifying the support.
The materiality of the paint appears between what was left and what was erased, while the shadow appears as an image or is obstructed and rendered invisible, shaking the viewer's perception through a conflict between what is visible and what is not. I feel the result resembles the horizon, which remains even though it is surrounded and divided.

大西佐奈作品展

 う す い

雨水の窓

 

2020年2月6日(木)〜2月24日(月)

侶居(ろきょ)展示 風景

 

 

 

 

  

 大西佐奈は、イメージを可視化して表現する手段として、2次元の「平面造形」にこそ無限の拡がりがあると言います。 手を伸ばしても届かない世界と現実との境界線を探りながら、画布にイメージの世界を構築しています。彼女の描く絵画には、その境界の象徴として有形無形の「窓」が存在しているのではないでしょうか。

                                                            侶居

Photo by Shinji Hinode


 
 私たちは窓をみる時どこをみているのでしょうか。ガラスの表面や窓のつくりでしょうか。それともその向こう側にいる人や風景でしょうか。
 
 絵も同じ様に私たちは絵をみている時、どこをみているのでしょうか。絵具の表面や紙や布やカンバスのつくりでしょうか。それともその向こう側に描かれている事でしょうか私たちはみるという事で何かを探していると思うのです。
 
 私の作品は支持体自体を透過させたり、絵具の物質が現れたり、ぼんやりと像を結んだりと視覚や知覚をゆさぶります。そしてそのゆさぶりの中に探している何かが見つかるのではと思っています。
  2020.2.6
大西  佐奈